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埼玉県都市整備部

段ボール81個8日引継ぎ/イーホームズ廃業で/自治体 引き受けに難色も

2006/06/02 埼玉建設新聞

 5月29日付けで民間建築確認機関としての指定取消しを受けたイーホームズがかかわった県内分の書類引き継ぎが、8日に行われることが分かった。県都市整備部の担当課に届いた通知にはA4判の段ボール箱81個分と明記されていたと言う。今回の書類は、10市の特定行政庁分を除く自治体にかかわった案件とし、書類の所在地から12県土整備事務所ごとに仕分ける。その後限定行政庁にそれぞれ書類を配布するという人海戦術をとる。しかし、特定行政庁の中には倒産・廃業ではなく指定取消し扱いとなっているため法律では引き継ぐことに難色もしくは拒否の姿勢を見せているケースもあり、まだまだイーホームズ、一連の耐震偽造の問題は終わりを告げていない。

 元民間建築検査確認機関のイーホームズ(藤田元社長=4月末架空増資違反で逮捕)は、5月29日付で国土交通省住宅局の建築指導課長名により指定取消しを受けた(国住指第685号)。

 建築基準法によると民間建築検査機関が廃業した場合、設計図面といった書類関係は「対象建物がある自治体」が引き継ぐことになっている。

 したがってイーホームズが関与した案件の中間検査・完了検査などの書類は、法律的には5年間保存を義務付けられているため早急に引き継がなくてはいけない。しかし、受け入れる側の市町村は大臣からの「指定取消し」であって、廃業でも倒産でもないと指摘し、引き継ぐ法的根拠にはならないと難色を示す姿勢もあったようだ。自治体は書類保管場所の確保、イーホームズ案件の例えば銀行からの検査済み証発行の要求などに対応しなくてはならない。

 イーホームズの案件は、会社所在地が新宿区だったことから、新宿区や周辺の区が多くの図面を引き継ぐことになり、区によってはその図面の多さに悲鳴をあげているケースもあったようだ。

 このほど担当課の建築指導課宛てに、さいたま市、川口市、所沢市、川越市、越谷市、草加市、新座市など10市の特定行政庁分を除いた引き継ぎ通知が国土交通省を通じて届いた。県へは34cm×42cm×30cmのA4判の大きさの段ボール箱81個を8日に引き継ぎすると明記されていた。

 村上建築指導課長は、書類で所在地を確認し、12県土整備事務所の箱を用意し、該当する箱に1枚1枚入れていく「人海戦術しかない」と苦笑いしている。

 12県土整備事務所の箱に入れ終わった後は、戸建ての木造住宅の建築確認などを行う43市町の限定特定行政庁に配布し、それ以外はそのまま県土整備事務所が保存する。

 また、「グランドステージ川口原町」のマンションの建築確認審査を出した日本ERI(港区)も5月29日付けで3か月の業務停止処分を受けている。このように関係者の逮捕、検査機関の業務停止、指定取消しが相次いでいる中、構造偽造問題の余波はまだ全国的に続くと思われる。

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