帝国データバンクの県内3支店(松本・長野・飯田支店)はこのほど、県内建設業売上高ランキング(平成17年4月~18年3月期決算対象)をまとめた。
これによると、上位30社の総売上高は3939億8300万円で、同社が集計を開始した平成12年度から初めて前年度を上回る結果となった。
集計を開始した12年度は5307億8400万円、以後毎年減少を続け、13年度5043億2700万円(前年度比5%減)、14年度4405億8100万円(同12・6%減)、15年度3962億3800万円(同10・1%減)、16年度3894億2400万円(同1・7%減)となっていたが、17年度は1・2%増となった。上位10社に限ると、7%増と上昇率はさらに大きくなっている。
♂●増収企業は1
●社増え17社に♀
30社のうち増収になったのは17社、減収は13社。平成12年度から16年度までの増・減収企業数推移は、増収が13社→10社→8社→5社→16社。減収は16社→20社→22社→24社→14社。15年度には増収5社に対し減収が24社と厳しい状況が浮き彫りとなっていたが、16年度には増減収企業数は逆転していた。
今回、増収企業は1社増、減少企業は1社減と前回から大きな変化はない。10%以上の増収は前回と同数の6社、10%以上減が1社増えて9社と、ほぼ前年並み。売上高100億円以上の企業が13社から11社へと2社減、30位の企業の売上高は前回を若干下回った。
このような状況下、30社の総額が増加に転じたのは、ランキング上位企業に増収企業が多かったことが要因。上位10社のうち売上をを伸ばしたのは9社(うち10%以上増が3社)で、全増収企業17社のうち半数以上がベスト10に入っていることから、総額を押し上げる結果となった。
●上位4社は変らず
県内売上高トップは今回も北野建設(長野市)で変らず、前期比17%増は増収企業17社中でも4番目。
2位の角藤(長野市)、3位の守谷商会(同)までの3社が300億円を超え、4位の東日本システム建設(長野市)までは前回と同順位。
上位10社のうち9社が順位の変動はあったものの前回と同じ顔ぶれ。このうち増収となった9社のうち2期連続増収が5社、3期連続増収が2社で、売上げの回復傾向が2期以上にわたっている企業が多い。
伸び率のトップは29位にランクインした青木鉄工所(長野市)の42・8%増で、首都圏方面での立体駐車場受注が増加したことによる。また、22位の興和工業(岡谷市)も、民間建築が堅調に推移したことから32・3%増でこれに続いた。
♂●格差拡大を懸念♀
今回の調査で同社は、大手建設業者の売上げが回復兆しをみせていることが明らかとなったとし、平成13年度以降の上位30社の総売上高が前年度を上回ったのは初めてで、これを好材料のひとつとして受け止めることができるとしている。
しかし、市場が縮小していることから平成12年度の水準とはまだ大きな隔たりがあり、今後大幅な回復を期待することは難しい。30社中でも明暗が分かれたように、ランキング対象となった大手・中堅企業と、圧倒的多数を占める中小・零細企業の間では事情が異なるとの指摘もされている。
適正な業者数や従業員数の実現、新分野進出の促進、支援体制の強化など建設業界をめぐっては課題が山積みしており、財務内容や企業努力、経営手腕により格差が一層拡大する懸念も残されている。