ハザマ(新名順一社長)、JFEエンジニアリング㈱(斎藤脩社長)、青山機工㈱(信定隆宇興社長)の3社は、都市道路トンネルの分岐合流部構築工法「ウィングプラス工法」の実証実験を完了。実プロジェクトへの適用にめどをつけ準備を進めている。大深度地下を利用した環状道路トンネルなどのトンネル分岐合流部の非開削工法として有効で、安全性・経済性に優れている。今後、実証実験の結果を受けて改良などを実施、大都市圏の道路プロジェクトを対象に営業展開を図っていく。
3社が共同で開発した「ウィングプラス工法」は、シールド胴体部からアーチ型掘進機を張り出し、道路トンネルの構築と同時に分岐合流部の拡幅施工に必要な防護工(先受けアーチシェル)を造成する工法。
高剛性の先受アーチによって周辺地盤の緩みを防止するため、地表面沈下の抑制効果が大きいほか、トンネルに沿って連続的に先受アーチを造るため、高い止水性を得ることができる。またシールド掘進しながら同時に先受アーチをつくるので、防護工の工程を約25%短縮。さらに先受アーチを造成することにより大規模な地盤改良を省略するため、切り拡げの工費を20~35%低減することが可能だ。
実証実験では、2分の1から3分の1の大きさの実験機を製作。アーチの掘削、先受けアーチの打設、、アーチ型掘進機の姿勢制御――といった主要な3つの技術課題について、実施工に近い条件で実験を行った。
アーチの掘削実験では、今回新たに開発したアーチカッターを用いて軟岩の模擬地盤を掘削、カッターの掘削性能を確認。アーチの打設実験では、大深度地下における施工状況を再現するため、0・5MPaの水圧が作用する土槽を準備。土槽内で先受けアーチコンクリートを打設し、アーチの品質・強度に問題のないことを確かめた。
アーチ型掘進機の姿勢制御実験については、アーチ型掘進機の模型にシールド施工時の変位と回転を再現して与えた。張出し部分に採用したパラレルリンク機構により、リアルタイムの姿勢制御が可能であるとしている。
この実証実験の結果をもとに、カッタービットの改良やアーチ打設方法などを見直しを行い、実用化に向けた技術課題を解決。適用に向け本格的に営業活動をしていきたい考えだ。