記事

事業者
茨城県

新治郡八郷町根小屋地内畜産センターが開所

2000/08/02 日本工業経済新聞(茨城版)

 茨城県が新治郡八郷町根小屋地内で整備を進めていた畜産センターが開所した。約123haの広大な敷地には本部研究棟や施設管理棟、先端技術実験棟、環境実験室、育種調査室、飼料分析センターがエリア別に建つ。また、フリーストール牛舎や分娩牛舎、供卵豚舎などがあり、乳用牛(ホルスタイン種)で80頭、肉用牛(黒毛和種)で50頭、豚(種豚)で20頭が飼育可能という。茨城県では、大正15年に西茨城郡友部町に移転させた畜産試験場の老朽化が激しく施設を更新するにも敷地が狭いことなどから、八郷町に移転を計画、茨城畜産をリードする研究体制懇談会を設置し、計画を練っていた。事業経過では4年度から基本構想の策定や用地買収に入り、6年度から造成工事に着手。6年度と7年度で施設設計をまとめ、9年度から3か年で施設整備工事を進めていた。総事業費には約175億円を費やした。

 畜産センターは、輸入自由化などにも耐えることができるよう畜産業技術の拠点として整備した。これにより研究体制は畜産センターを中心にし、那珂郡大宮町の肉用牛研究所、稲敷郡江戸崎町の養豚研究所、東茨城郡茨城町の養鶏研究室とあわせて4施設となった。

 畜産センターでは、特に①クローン家畜生産に係る技術的課題の検討や、体細胞を提供するドナーの選定と体細胞クローンの生産②優良雌牛の受精卵を安定供給することによる黒毛和牛の農家での低コスト生産③炭化対比の土壌改良による農作物の品質向上と需要の拡大④家畜汚水処理水のより少ない面積での蒸発散施設の設置-などの研究課題に取り組むことになる。

 7月10日の開所式では、多くの関係者らが集まる中、橋本昌知事が「周辺を考慮した畜産環境をつくることが最も大切であり、そうしたことに十二分、応えられる施設になった」と自負。

 穐山隆貞センター長が「先端技術の開発は勿論だが、現場の中に深く入り込み、一つひとつの課題に取り組むことを心がけたい。また、県民とのふれあいも大切にし、特に小・中学生に訪れてもらい畜産を通じて命の大切さを学んでほしい」と抱負を話した。



紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら