政府税制調査会(加藤寛会長)は21世紀のわが国の税制の在り方についてまとめた「中期答申」を7月に森総理大臣に提出した。建設省、地方自治体など建設関係に何らかの形でかかわっている者は「道路特定財源制度」の廃止が盛り込まれるかどうかに着目してい。
結果は慎重論が出たため廃止にはならなかった。今回の答申は、そもそも13年から建設省と一緒になる運輸省、さらには環境庁が環境税を提唱したことによるもの。代表的な環境税は地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を抑えるため、出す量に応じて燃料に税金を課す炭素税がある。例えば、フィンランドでは化石燃料に1炭素t約3、500円、ガソリン1リットル当たり3・1円を課税している。
しかし、道路特定財源は大部分がガソリン税によって運営されていることから、加藤会長の言葉を借りると「環境のために課す税金が増大し、そして道路を整備に使われるのはアベコベ。環境を守るための税で環境破壊につながる制度は、廃止すべき」となり、また、税金の優遇策で燃費の高い車を市民が購入し、結果として財源が減少することを建設省は恐れている。
建設省、建設業界或いは地方自治体は別の角度で注目しており、また話題になることが少し残念であった。なぜなら、運輸省、環境庁、建設省の省庁間のパワーゲームに利用されたことと特定財源に期待している地方自治体、そして今回も暗躍したと思われる道路族議員の政治的な道具に利用されたからだ。将来的には一般財源化に転換していくことが望ましいと認識しているが、環境対策としても一定の道路整備が必要なことと社会資本整備の一環としても道路特定財源は残してもらいたい。
しかし、今回反対活動した人達の言い分には断じて与することはできない。政治的な材料に利用されているうんぬんはともかく、加藤会長の出身地である岩手県の市町村長は「地方は道路整備が遅れ大変だ」と意見書を出している。地方分権が叫ばれ、地方の自立が求められている中、既得権益になっている財源にいつまでも期待し続けてもいいのかと疑問に思う。
このように地方の道路現状、省益優先などの理由で制度存続を訴えた方に警鐘を鳴らす意味で今後の制度の運営について考えなくてはいけない。制度が存続した代わりに、受益者・原因者負担という基本的な理念を重視しなくてはならない。今年度は5兆8、000億円の道路特定財源を確保しているが、今までは受益者負担という考えに忠実だったか、はなはだ疑問が残る。
なぜなら、採算の取れない地方の道路に予算を多くつぎ込みすぎているからだ。受益者負担に沿っていないと言える。今後はガソリン税、自動車重量税、軽油取引税金などが各県ごとでどれくらい上がったのか、それに対していくら道路特定財源が割り当てられたか、その道路の概要と事業費などについてオープンにすべき。そうすれば利益誘導などとは言われなくなるだろうし、国も地方自治体も予算の優先付けをする。
また、私は先程、環境対策としても道路整備は必要だと言わせていただいたが、その理由を説明したい。都市部では常時交通渋滞だ。平日の走行速度はせいぜい20km程度と言われる。速度が40kmに上がるだけで車が排出する窒素酸化物や二酸化炭素は3割下がるとのこと。交通渋滞解消、環境汚染物質排出量削減からも道路の拡幅といった整備は不可欠だ。
道路特定財源制度は、運用しだいで透明性も確保され、今回話題になったことで採算性と政治的材料といった不安は薄れてくると信じたい。有意義な制度として確立され、ひいては社会資本整備を担う重要な制度として存続し国民すべてから正しく理解されることを願っている。