県農林部が13年度新規採択を目指している上里西部地区担い手育成ほ場整備事業に関連し、地元上里町は関越自動車道上里サービスエリア(SA)を利用した、ハイウェイオアシス計画を本格化させる。大型ショッピングセンター、複合型映画館(シネマコンプレックス)などの民間商業施設を中心とした14・7ha、地元農業との連携を図った農業振興施設など8・4haが計画されている。すでに民間企業からの進出希望が寄せられており、ほ場整備スタート後の早期具体化が図られる見通し。状況にもよるが、5年内の実現が目指されている。
これまでのハイウェイオアシス事業がSAなどと都市公園とのつながりであったのに対して、10年9月施行の「高速自動車国道法等の一部を改正する法律」に伴い、相当数が高速道路を通行して利用すると見込まれる高速自動車国道活用施設として民間の物販・飲食ビジネス・サービスビジネス・アミューズメント・物流などの事業を対象に、高速道路との連結が可能となった新事業として進める。
事業地は大字五明、勅使河原地内、上里SAから神流川までの区域。上り線側8・4haを地元との交流拠点として農業関係の振興施設を中心に、下り線側14・7haを民間企業による大型店舗など集客性の高い施設を整備し、合計23・1haを充てる計画。SAから直接、また一般道からも出入りできるようにする。
土地はほ場整備の際に、営農意向のない地権者の農地、減歩により生み出される用地を非農用地として創出、町土地開発公社が取得し、町や農協、商工会などにより設立する第3セクターが買収し、民間企業へ賃貸、買却などの方法で手当てする。
現在検討される導入内容は、下り線側に地域振興施設として地元で名産の梨などを中心とした農産物直売館、地元で収穫された小麦、野菜など農林畜産品を食材にレストラン、情報館、ガーデニングコーナー、バーベキューハウス、体験加工館、体験農園、広場など訪問客が一日楽しめる内容とする。施設整備や運営方法などについては生産団体はじめ関係機関と調整を進める。
下り線側は、大型ショッピングセンターやアウトレット、シネマコンプレックスなど注目されている施設や温浴施設などの立地を想定。このほか地域供給処理施設を整備する。
駐車場は、高速利用者、一般道利用者に分ける。このうち高速利用者分については上下線利用者それぞれが両側の施設に行き来できるよう双方に駐車場を設ける。高速からの進入路位置は、日本道路公団と調整中。まとまれば警察協議を進める。駐車台数は、施設整備のエリア取りに左右されるが、4、000台規模が想定される。また高速道路下の既存ボックスカルバートを利用して歩行者通路も整備する。
町は民間の進出希望企業名は明らかにしていないが、業種としては高速利用者を見込んだ大型ショッピングセンター、一般道利用を見込むスーパー、ホームセンターなどの商業施設系やシネマコンプレックス、温浴施設、またゼネコンなどから希望が寄せられているという。実際には、ほ場整備事業化後の具体化検討段階で進出希望企業の募集から決定へ進む見込み。
現在の計画は高速道路と一般道の出入りができない閉鎖型だが、将来的に必要に応じてUターンやミニインター設置など更なる利便性の向上策も出てきそう。進出希望企業からも声が寄せられているという。
事業の前提となる県営上里西部担い手育成ほ場整備は、13年度の採択を目指して国と調整が進められている。区画整理工事を中心とした整備。事業期間は5か年が一般的。民間側は、それぞれの経営戦略から、いつごろ進出できるのかが焦点になっているが、順調に進めば5年以内の計画実現が考えられるものの、具体的にはほ場整備事業の進捗次第の面がある。
町では、高速を利用して立ち寄るだけでなく、ここを目的に来てもらいたい、広範囲から人が集まり、地元と交流して地域の更なる振興につながれば、と話している。