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埼玉県

県環境整備センター整備事業工業団地造成計画、民間資本導入のリサイクル施設群を集積、整備へ

2001/02/09 埼玉建設新聞

 寄居町三ケ山の県営最終処分場・県環境整備センター整備に伴う隣接地約40haの工業団地造成計画で県は、民間資本導入によるリサイクル施設群を集積、整備していく考えを示した。13年度当初予算に、関連調査などの費用を計上する方針でおり、一方で、地元との調整に来週後半にも入る考えで、検討会議を立ち上げ、理解を求めていく構え。住民意見を聞きながら、具体化へ向けた計画を策定する。これまで、産業廃棄物の中間処理は民間が行っているが、県参画での計画が実現すれば、全国初の事業となり注目される。

 全国唯一の県営最終処分場である、県環境整備センターは、国道254号に程近い、寄居町三ケ山に全体敷地約97・7ha。内訳は約32haを埋立面積として谷合を利用した12か所の埋立地、約43haを残存緑地、4・8haの調節池、道路などその他施設が約22・7haとなっている。平成元年から埋め立て開始し、これまでに2、5、6、7-1、7-2号での埋め立てが完了、13年度中には現在埋め立て中の1号埋立地が満杯になる見通しとなっている。

 工業団地造成計画は、同センター整備時に地元寄居町が整備を要請、これを受け、県が検討に着手した。その後、コンサルを参画させ調査などを進めたものの、県企業局造成の工業団地分譲が振るわない現状と、現地の地形が山間部となることで造成コストが嵩み、分譲価格が高騰し企業ニーズに合わないなどの理由から、地域振興に資する導入機能など地元希望の施設との複合型開発についても模索した経緯がある。

 このほど明らかになった構想では、西側隣接地約40haと同センター内の残存緑地部分を活用して、先端技術を持った産業廃棄物中間処理施設を誘致、集積していくもの。整備などに当っては、県が用地を提供し、施設建設・経営などに民間が参画、管理責任は共同で行うPFI方式を導入していく考えがある。これまで産廃処理を行っている企業だけでなく、新規参入を目指す企業も視野に入れるもよう。

 地元との調整は、来週後半にも着手する予定で、検討会議(名称未決定)を立ち上げ、具体化へ向け本格的な検討に着手する。同センターの跡地利用も含めた検討となりそうで、県では地元の理解を求め、意見を十分に聞き入れた上で、具体化計画の策定を進める予定でいる。状況によっては、先進事例の視察なども出てきそう。誘致する施設内容や規模なども検討される。

 また、策定後の動きとしては、事業化に向けたさらなる地元のコンセンサス形成や実質的な作業としては用地の工業用地などへの都市計画決定、環境アセスなど法手続き、企業の募集条件の検討などに入っていく。実際の整備時期などについては未確定要素が多いが、実現すれば、県が関与する全国初、環境優先の県の基本理念にも叶った施設として、リサイクルの拠点となる。

 40haの用地買収については、9年度に着手し、地権者の理解の下、50%以上を確保している。今後も積極的に交渉を進め、2-3年内の完買を目指している。

 県が、産廃施設整備に参画していく方向性を打ち出したのは、今後の施設不足懸念やダイオキシン規制強化に伴う施設改善などの企業負担からくる存続問題、新規施設立地が難しいなどの要因から、地元の雇用確保を踏まえ、安全で安心できる施設を建設し運営することが重要、との考えがあったため。

 なお、先月末には「環境整備センター公害防止協定」の調印式が行われ、津久井幹雄寄居町長、土屋義彦県知事、地元住民協議会及び立会人が調印した。これにより使用期限が現在の平成15年1月31日から延長して28年3月31日までとなった。 



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