記事

事業者
(一財)建設物価調査会

東京地区・2月の主要資材価格動向を発表-鋼材、合板が値戻し

2001/02/16 東京建設新聞

 財団法人建設物価調査会は、東京地区における「2月の主要資材価格動向」(2月1日から2月6日調べ)をこのほど発表した。

 それによると、公共工事の年度末需要期を迎えたが、鋼材、合板が強力に値戻しを押し進めているほかは市況対策に打つ手がないといった資材が目立つ。H形鋼は、不需要期を迎え昨年春より続いてきた上昇ムードは消えつつある。線材は、素材の値上がり分の製品価格転嫁が浸透しないまま横ばい市況が続いている。セメントは、都市圏での需要が好調である一方、安価な輸入品が増加傾向にあり環境は以前厳しい。アスファルト混合物は、公共事業の縮小で出荷量が前年度割れを予想され、価格も販売競争が続き期苦戦を強いられている。木材は、輸入原木の値上がりや円安基調からコスト高となっているが、荷動きが悪く値上がりまでに至っていない。コンクリート型枠用合板は、合板用輸入丸太の値上がりでメーカーが値上げを打ち出し、問屋筋も買いに動き始めており市況は強含み。道路用コンクリート製品は、頼みの公共工事が伸び悩んでいるため出荷が大幅に落ち込んでいる。電線は、問屋筋がIV、CV等の主要品種を中心に値戻しを唱えているが、需要家の抵抗が強く同値圏で推移している。ガス管は、需要の落ち込みが大きく、首都圏再開発工事向けも市況回復の下支えになっていない。塩ビ管は、平成12年の出荷が前年比3・9%減となって需給環境が改善しないままとなっている。

◎H形鋼

 H形鋼ペースサイズの200×100×5・5×8で、トン当たり37、000円と、前月比横ばいで推移している。不需要期入りに伴う需要の落ち込みの影響で、昨年春先以降続いてきた市況上伸ムードは消えている。流通筋では、メーカーの11月値上げ分の取り残しがあるものの、これ以上の値戻しは難しく、現在の価格水準を維持するのが精一杯な状況となっている。新日本製鉄の製品を取り扱う流通筋で構成されている「ときわ会」による、12月末の全国在庫量は、約34万1、500トン、前月比7・4%増、3箇所連続の増加となっている。出荷量減少に伴う市中在庫増加で、一時期の需給タイト感は薄れている。しかし、メーカーは現在の市況維持の姿勢を崩していないことから、市中に対する供給圧力は少なく、目先、市況は横ばいのまま推移する模様。

◎線材製品

 東京地区の線材製品は、普通鉄線のペースサイズ♯8でトン当たり63、000円、なまし鉄線の♯8で同71、000円と共に前月比横ばい推移。昨秋以降、素材メーカーが打ち出したワイヤーロッド、トン当たり3、000円の値上げに呼応して伸線加工メーカーもトン3、000円の値上げを打ち出し需要家と交渉を続けている。しかし、需要家の購買姿勢が厳しいことから、新価格は浸透には至っていない。伸線加工メーカーは素材の値上がり分を転嫁するため、荷動きが活発になる2月以降に新価格の完全浸透を目指す意向にある。しかし、東京地区では、今後も線材製品の需要の増大は見込めそうにないことから、新価格の浸透は依然、時間が掛かるとみられる。先行き、市況は横ばいで推移する公算が強い。

◎セメント

 セメント協会まとめによる平成12年4~12月期の国内販売量(輸入除く)は、前年同期比1・7%増の5、391万トンとなっている。官需のウエイトが高い地区で需要が落ち込んでいる反面、民間建設投資が旺盛な大都市圏での需要の伸びがみられ、国内販売数量全体を押し上げている要因となっている。また、民需の依存度が高い東京地区は、都心部の大型プロジェクト工事が12月以降本格化していることも安定した販売数量に寄与している。こうした一方、セメント市況を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。国産品に比べて廉価な輸入品の販売数量が増加傾向にあり、需要家の値引き要求を一層強める原因となっている。加えて、現場工事向けを中心にメーカー間の販売競争が再び激しさを増す気配を見せていることから市況は目先、弱含み横ばいで推移する公算大。

◎アスファルト混合物

 東京アスファルト合材協会のまとめによると、平成12年4~12月までの出荷量は約365万トンと前年比2・6%減となった。合材需要は最盛期を迎え、荷動きが活発化しているものの、地方自治体の財政難や民間需要の不振を背景に、今年度の出荷量は前年度水準には達しないものとみられる。こうしたなか、混合物業者はこれまでのストアス価格上昇分を製品価格に転嫁すべく、引き続き値上げ交渉を実施している。しかし、販売競争が激しく、値上げは浸透していない。また、今年4月に大手業者のプラントが操業を開始することから、業界内ではさらなる需要緩和と、受注競争の激化による販売価格の下落を懸念する声が多い。当面、値上げ交渉の成果は現れそうになく、市況は横ばいで推移しそう。

◎木材

 米つが(3・0m×10・5・×10・5m)の価格は、・当たり45、000円と前月比横ばい。原木の産地価格の高騰や、為替円安による輸入コストの上昇から、流通筋は値上げの意向を示すが、不需要期に入り、実現は難しいと見る向きが多い。中小工務店の徹底した当用買いにより、荷動きは鈍く、当面、横ばいで推移する公算が大きい。

◎型枠用合板

 型枠用合板価格は枚当たり870円と前月比20円の上伸。合板用丸太の輸入価格が高騰し、生産コスト上昇は避けられないとして、メーカーは合板価格の値上げを打ち出している。市中では中小工務店向けの需要が伸びていないが、問屋筋は先高を見込んで在庫補充に動いており、徐々に値上げが浸透しつつある。目先、強含みで推移する公算が大きい。

◎道路用コンクリ

 関東コンクリート製品共同組合調べによると、東京地区の平成12年12月の道路用コンクリート製品出荷量は約2万トンで、前年同月比0・6%の微増となった。しかし、4月から12月の累計出荷量は約13万6千トンで前年同期比14・3%の大幅な減少となっている。公共事業が減少し、市場が縮小する中で、メーカーは利益を確保するため、生産品目を絞るなどの合理化を進めている。ボックスカルバートは従来メーカーのオリジナルタイプと道路土工カルバート工指針準拠品の両方を生産していたが、徐々に土工指針準拠品に生産がシフトしてきている。需要家の購買姿勢は依然厳しいものの、メーカー側は市況維持に努めているため、先行き、横ばい推移する公算が大きい。

◎電線

 電線需要は2月入り後、新規大型建築工事を中心に堅調に推移しているものの、市中全体の盛り上がりには至っていない。一方、国内電気銅建値は1月12日にトン当たり1万円上伸して、再び同25万円の水準に回復し、2月6日現在も同値で推移している。こうした状況下、問屋筋では採算悪化改善のためIV・CV等の主要品種を中心に値戻しを唱えている。しかし、需要家の抵抗も強く交渉は続けているものの、電線価格は前月から同値圏を推移している。先行き、年度末需要の動向が注目されるが、公共事業の見直しによる需要減少や民需も市内を活性させる程の勢いはないとの悲観的な見方が多い。しかし、市況は市問屋筋が強気な姿勢を崩す様子はないことから、当面横ばいで推移か。

◎ガス管

 ガス管需要は依然物件が少なく、全般的に低水準となっている。このようななか、市況は前月比横ばいで推移。今後、首都圏再開発工事向け需要の本格化で、需要増は見込まれるものの、需要家側の厳しい購買姿勢が続いており、市況の回復までには時間を要するとの見方が大勢を占めている。このため、先行き、弱基調のまま横ばいで推移する公算が大きい。

◎塩ビ管

 塩化ビニル管・継手協会調べによると、平成12年の塩ビ管出荷量は、前年比約3・9%減の466、553トンとなった。これは事務所ビル等の民間建築工事の不振によるものと見られる。需給環境が厳しい中、問屋筋と需要家の価格交渉には進展が見られず、市況は横ばいで推移。先行きも、需要家の購買姿勢は依然として厳しいことから、横ばい推移の公算大。



紙媒体での情報収集をご希望の方は
建設新聞を御覧ください。

建設新聞はこちら