コラム

2002/10/11

不法工作物を強制撤去

2002.10.11 【不法工作物を強制撤去】

▼東京都江戸川区を流れる新中川河川敷低水護岸の高水敷に、地元住民が不法設置した家庭菜園や物置などの強制撤去に都が乗り出した。対象は中流域にある鹿本橋から小岩大橋までの800m。都では警告札や口答注意で自主撤去を求めていた。ところが、入植は一向におさまらない

▼都側は「高いフェンスで高水敷を取り囲んだり、浚渫土を積み上げたり」あの手この手の防御。しかし、都にとって不幸だったのは高水敷が「土」だったこと。隅田川をはじめ都内の高水敷、実はタイル張りやアスファルトがほとんど。この土に住民が群がり、きゅうり、なす、ビワの栽培を開始。菜園者は600人にも及んだ

▼終いには道路入口に鳥小屋まで出現する始末。「あまりに好き勝手」な住民の横暴に業を煮やした都が撤去作戦に出たというわけ。住民にとっては他人の土地でも「自分が耕している」とあって愛着が湧いてくるのが人情。情が積もって36戸の農具収納小屋までが設置された

▼貯水用の風呂桶、雨戸で作ったフェンス、足場を良くするじゅうたんやゴザまでも放置されていた。工作物の乱立で、見た目が汚く、近隣住民からも苦情が多かった。「悪いことをしていると思いつつもここまでやってしまった」と詫びる住民もいた。河川法では不法者に対する罰則規定はない。川の流れを阻害する恐れから「現状の回復」しか出来ないのが現実だ

▼とりあえず、都では7月に家庭菜園を整地した上で「新中川利用推進プロジェクトチーム」を発足させた。めでたく整地後の河川敷の活用方法を地域住民と協議して、都民に解放する方向で一件落着した。

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