コラム

2002/11/13

歴史的な波の推移

2002.11.13 【歴史的な波の推移】

▼バブル崩壊から12年。この間、大規模な総合経済対策が何度となく繰り返され、様々な対策がなされてきたものの、一向に景気が回復しない。それどころか、景気下落に歯止めをかけるための総合デフレ対策の実行にまで追い込まれている。財源を小出しする財務省主導の小泉政権下では、期待が薄い。政権、政策のやり方の違い程度で現在の不況を乗り越えられるとも思えない

▼物事の行き詰まり時は、過去をさかのぼる。そこで注目すべきは歴史的な波。経済恐慌の60年周期、世界的な覇権の移行100年周期、そして文明の800年周期など

▼15世紀以降、世界の覇権はベネチア、スペイン、オランダ、大英帝国、アメリカへとおおよそ100年毎に移行。この移行時期、それまでの覇権国家が没落、それに代わる別の国が経済大国として台頭してくると例外なく大規模なバブルが発生、その崩壊後には長期的で深刻な不況が襲った

▼西洋文明が世界を征したのは、今から800年前の十字軍遠征が契機。イスラム圏との戦いで、アジア〜中東の文明がはるかに西洋より高いことを知り、同文明を取り入れてルネッサンスが興った。800年を経過した今、文明の周期は再び東洋へ回帰する動きを強めているという

▼西洋と東洋の間に位置する日本には、こうした歴史的な巨大な波が形を見せずに複雑に押し寄せている。今の不況は、戦後50年で経験してきた景気の波とは明らかに違う異質のものである。真摯な気持ちで、目先に捕らわれず一人ひとりが歴史上の大きな観点から過去を検証、日本の役割を考えていくことが求められるのではないだろうか。

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