コラム

2002/11/27

人は活かすもの(長・TT)

2002.11.27 【人は活かすもの】

▼松下電器産業が大規模なリストラを進めている。創業者の松下幸之助氏は、かつて「会社は社員を大切にし、その生活を保障してやることが一番大事」と言っていた。現在の松下電器産業のこんな状況を一体、誰が想像していただろうか。それだけ国内の経済情勢は深刻を極めている

▼バブルの最盛期には、どの企業も人員の確保に奔走していた。リストラという言葉も定着していなかった。それが今では、ほとんどの企業がリストラを実施している。企業の再構築と言えば聞こえが良いが、本質は人員の削減だ。企業から見れば、策の一つに違いないが

▼超優良企業と言われていた富士通の社長が最近、役員会で発言した事がマスコミに知れ話題になった。「会社の業績がこんなに落ち込んだのは、社員が働かないからだ」と。人は「使うもの」だと考えて、社員を酷使する経営姿勢が伝わってくる。その富士通も、大規模なリストラを断行中だ

▼よく耳にする言葉に勝ち組、負け組がある。経営がしっかりし、尚かつ、順調に売り上げを延ばしている企業が勝ち組。逆に、深刻な経営状況に陥っている企業が負け組。そして負け組の代表格は建設及び銀行のように思える。社会資本の整備を担う建設と、経済の心臓とまで言われている銀行が経営の危機に瀕しているのだから

▼トヨタ自動車やソニーは、勝ち組の代表的な企業と云えるだろう。これらの企業は、時代の潮流に乗った先見性のある経営方針で臨んできたことは確かであろうが、もう一つ人間に対する経営理念がある。いづれの経営者も、人は「活かすもの」だと考えて、社員を長い目で育成している。(長・TT)

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