コラム

2002/12/03

必勝の書「五輪書」に習う(水・YH)

2002.12.03 【必勝の書「五輪書」に習う】

▼2002年も残すところ1月足らずとなり、何かと気ぜわしい。どうやら日本の経済も抜本的な回復を見ないまま終わりそう。政府の牛歩様式など構っていられない。企業存続をかけて文字通り師走状態だろう

▼国土交通省は今年度の補正予算で総額1兆4343億円を追加するとしている。「従来型の公共事業はまかりならん」とする一般論に迎合し新型とする都市再生やネットの充実が中心。これで業界はもちろん日本経済回復の契機となるとは思えない。せめて「武蔵の兵法」に糸口を探ってみようとするのは自然な成り行きだ

▼兵法は戦いのノーハウである。しかし近年は普遍的要素を持つとし特に閉塞する経済のノーハウにも大いに適用される。来年からNHK大河ドラマで放映される「宮本武蔵」が60歳の時から死ぬまで綴った『五輪書』が話題を呼んでいる。「生き残るために何をすべきか」と言うテーマが応用出来るというものだ

▼『五輪書』は地・水・火・風・空の5巻からなる。技術、戦局の読み方、兵法の意義・哲学などを説いている。「勝つ」ために何をすべきか?「心」「技」「体」を鍛えることを基本に勝つための発想を創り、これを実践するという。実際並大抵の鍛錬ではないことから「言うは易し」であるが

▼しかし大袈裟かもしれないが今は「生きるか死ぬか」の時代なのだ。武蔵の戦いは常に「死」という究極の局面で最大の努力を惜しまない。自ら起たなければ誰も頼れない。近年の経済状況に全く共通している。武蔵は「詩歌」「茶道」「彫刻」「絵画」等にも秀たという。必勝の発想はこうした世界からもヒントを得たに違いない。(水・YH)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら