コラム

2002/12/11

「親方・監督・代理人」(さ・SE)

2002.12.11 【親方・監督・代理人】

▼10数年前の冬、拙宅の増築で、大勢の大工さんがやってきた。いなせなハッピ姿で指示を出す白髪の職人を若い衆はみな「親方」と声をかけていた

▼あちこちで行われる道路工事は子どものころから見馴れている光景だ。学校の行き帰り、近くで見続けては「危ないよ」と注意を促し、作業員を指揮する人を「現場監督」と呼んだ。当時その言葉には「かっこ良くてえらい人」とともに「怖い人」というイメージがあった。弊紙に努めて「現場代理人」という名称を覚えた。呼び方は違っても現場では、すべての責任と一切の権限が与えられている。社長の〃代理〃となる現場代理人は、主任技術者、監理技術者なども兼務できるエキスパートだ

▼作業員の協力もさることながら、豊富な知識と長年の経験を生かし、安全管理、施工管理、工程管理などをコントロールしながら、困難な現場に立ち向かい、高品質な成果品に仕上げる。それが、発注者の信頼につながっていく

▼その努力が認められ、代理人として新たな勲章となる「優秀現場代理人顕彰」は各地で行われている。埼玉県でも今年、53人の「シビルエンジニア」が誕生した。過去の受賞者をひも解いてみると、女性代理人が唯一1人受賞している。建設業界への女性進出は増えているというものの、代理人として受賞されるのはまだまだ少ない

▼通勤電車の中で毎朝、何冊もの分厚い本を膝の上に開き、一心不乱に読み続けている若い女性がいる。その本には「2級土木施工管理技士試験」とある。無事合格し、経験を積んで将来、「怖い人」にはならないまでも優秀な現場代理人として活躍することを願ってやまない。(さ・SE)

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