士気を高めて（埼・ＹＷ）

2003.01.29　【士気を高めて】

▼先日、ある民放番組でゼネコンの始業前のようすを放送していた。なんと、中島みゆきのあの「地上の星」をスピーカーで流し、それを聞いて士気を高め「やるぞ」「挑戦するんだ」という気持ちを最高潮に上げて業務に取り組むのだそうだ

▼言うまでもなく「地上の星」はＮＨＫの人気番組のテーマ曲で大プロジェクトにかかわった人々の熱き志を取り上げたもの。ひとりひとりにはそれぞれの仕事上の思い出があり、それは嬉しかったことも辛かったことも皆美しい思い出に違いないのだ。それらを思い起こしながらじっと聞くと「またやるぞ」という気持ちになるのだろう

▼経営の神様・松下幸之助がまだ今の大企業になる前に、社員全員に１００年後は会社はどうなっているかを想像させ大声で発表させた。その時にいた一人、後の幹部は述懐し「本当に全員１００年後の姿を見れると思った」と述べている。つまり、高い理想と目標、夢を持つことこそ自分、組織にとって最も心が高ぶり一体感が生まれ、最も強いということを言いたかったのだ

▼不景気だと、功に焦り目先の利益に走りがちだ。浮ついた話に飛びつき、ともすれば詐欺まがいの話にも引っかかりやすい。今こそ、地上にも心にも根をおろし夢を持ち己を信じて行動することが肝要になる

▼それぞれ士気を高揚させることを見つけてはいかがだろうか。筆者は、功徳があったかどうかは分からないが、大事な試験などの前日はよく家に掛けられていた「源義家出陣」の掛け軸に手を合わせたことを思い出す。恐怖は伝染する。勇気と士気も伝染する。誰かが士気を高める役割りをしては。（埼・ＹＷ）