コラム

2003/01/30

東北新幹線のトンネル(前・HI)

2003.01.30 【東北新幹線のトンネル】

▼昨年12月1日に開業した東北新幹線盛岡〜八戸間96・61?に乗った。車両は、この開業に合わせて作られたE2系1000番台「はやて」で、全車指定席。これにより八戸駅の乗降客は2倍以上に膨れ上がり、その他諸々の予測数字も当初見込みを上回る実績をあげている

▼盛岡を過ぎ岩手山が見え、しばし見とれていると間もなくトンネルに入る。比較的車窓を楽しめるのはここまで。開業区間の約73%にあたる69・2?がトンネルで占められている。特にいわて沼宮内〜二戸間の「岩手一戸トンネル」の延長は25・8?におよび、供用済みの陸上トンネルとしては世界一の長さだ

▼しかし世界一に君臨できる期間も短期間に限られている。工事中の八戸〜新青森間81・8?は平成25年完成予定となっているが、この区間もトンネルが61%、51・1?を占める。その中の七戸〜新青森間に抜ける「八甲田トンネル」の長さは26・5?となり、岩手一戸トンネルを上回る

▼積雪や勾配等の安全対策もあり、トンネルが多いのはやむを得ないのかもしれないが、フランスの高速列車TGVは車窓を楽しめるのが特徴でもある。これは、地形に恵まれ、設置駅が少ないほか、最大35‰の傾斜が認められていることが理由だ

▼今後、東北新幹線が延伸し北海道新幹線が実現すれば、新青森の先は青函トンネル53・9?を通り、長いトンネルが続く。岩手一戸トンネルを通ったときは午後3時頃。トンネルから出た時、「ああ、今はまだ昼間だったんだ」という錯覚に落ちた。景気低迷の長いトンネルに入っていると、その暗さに慣れてしまうのは、強さでもあるが怖いことでもある。(前・HI)

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