コラム

2003/02/25

「喫煙派」

2003.02.25 【旗色が悪い「喫煙派」】

▼「タバコより体に悪い妻のグチ」「一服の前に区名を確かめる」。それにしても見事に煙草飲みの悲哀をとらえた一句だ。これは第一生命サラリーマン川柳コンクールに選ばれた一〇〇編で、思わずニヤリとしてしまう

▼WHO(世界保健機関)主導で「たばこ規制枠組み条約」の最終交渉が始まり、喫煙王国・日本の旗色が大いに悪いのだ。なにしろWHOの情報によると日本の成人男子喫煙率が52・8%(1998年)と先進国では最悪。アメリカ27・6%(1997年)、イギリスは29・0%(1996年)

▼とにかく健康に良くないことは百も承知。明らかにタバコが原因での死亡数は世界で300万人、日本では95年統計で9万5000人。男性が7万6000人、女性1万9000人。肺ガンばかりではなく、呼吸器、循環器、消化器は当たり前、お肌にもすこぶる悪いのだ

▼煙草飲みは「年間約2兆8000億円も貢献している優良納税者」と豪語する。改めて計算してみるとマイルドセブン1箱230円のうち59%約136円が税金である。デンマークの85%が最も高くイギリス77%、ドイツ70%等。しかし医療費、病気による損失、消防費等もろもろで約5兆6000億円もがかかっているという事実を認識することも無駄ではない

▼税率が高いから禁煙率が高いかというと、そうではない。アメリカなどは30%と先進国最低の税率であるが27%台の喫煙率。個人は当然だが政策的な健康に対する高い意識の結果だ。経済には神経質な日本人が何故健康や環境問題には疎いのだろうか。京都議定書など欺瞞(ぎまん)に見えてならない。

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