コラム

2003/03/25

有効期限の切れた亭主

2003.03.25 【有効期限の切れた亭主】

▼遠い国のこととはいえ、見上げるとミサイルが飛び交っているなど殺伐とした世相に、同様の話題では心がささくれ立ってくる。今、気分を和らげる本がベストセラーになっている

▼中高年のアイドルと巷で大人気?の綾小路きみまろ著「有効期限の切れた亭主 賞味期限の切れた女房」(PHP研究所刊)である。漫談家のライブを収録した冊子。不況や戦争等暗いニュースばかりだが、こうした世相に独創的、個性的なユーモアで敢然と立ち向かう。「笑い飛ばして、決してくじけない」そんなスタンスが実に小気味よい

▼54歳、鹿児島県松山町というド田舎(本文より)からアナウンサーになりたいという志を持って上京。まさに苦学しながら次第に芸の道へ。苦労は限りないだろうが決して見えない。そしてリストラされ小さくなっている家庭内での亭主、コレステロールで2段腹の女房をテーマに成功する

▼「夫は心の中で叫ぶ、ガムテープ、一度貼りたい妻の口」女房も負けじと「ゴキブリより夫のほうを退治したい」終始このような内容で聴衆・読者を魅了する。たかが漫談と侮れない所に人気の秘密がある。能書きは必要無いが、苦労から培われたであろう暖かい説得力が言葉尻に感じ、いつの間にか納得させられてしまうのである

▼本文より引用「昔ベンツに乗っていたかたがベンチに座っている時代です。昔ロールスロイスに乗っていたかたが火の車に乗っている時代です」。著者は最後に「ジタバタしたって仕様がない、ほどほどでいいじゃないか、なるようにしかならないーと素直に言えるようになった」と。笑い飛ばして前向きにありたい。

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