コラム

2003/03/26

ネットへの盲信(本・MM)

2003.03.26 【ネットへの盲信】

▼辞書は身近に置きたい。もの書きを生業にするものにとって誤字、脱字、誤用、同音異義語等のミスは絶対的に避けなければならない宿命がある。とくに、固有名詞、人名、統計数字の誤りは、どのような媒体であっても致命的になる

▼うっかりミスの背景には「何でも検索できる」とのネットへの盲信が潜んでいるようだ。ネットは確かに百科辞典の役割を為しているものの、最新情報にはすこぶる疎い。ふるい情報のまま野放しにされ、大半が更新されていないのが実態だ。巷で『天声人語』氏もネットからの安易な引用を控え始めたと訊く

▼「正確さを記すなら辞書に頼る」のが賢明だ。しかし、辞書の背表紙を観て疑問に思うのがその固有名詞。呼び名が「じてん」「じしょ」「じびき」と戸惑ってしまう嫌いがある。漢字にすると「じてん」は事典、辞典、字典。「じしょ」は辞書、字書。「じびき」は字引、辞引とある

▼多少強引だが「典も書も引」も日本語を調べるための書物だが、「事」「辞」「字」の差異は不明だ。そこで『裏読み深読み国語辞書』(草思社)によると、式辞や祝辞の「辞」は言葉を、文字の「字」は漢字の意味を、「事」は事柄を意味すると解説している。昨今、国語、漢和、類語、人名、四字熟語、ことわざ辞典だけでは心もとない

▼気象、歳時記、事件、年表の類は傍らに備えたい。昔から辞書は学校の先生より信頼度が高い。ところで、辞書の真中はお分かりだろうか。『し』の終わりか『せ』の始めが著名辞書の相場になっている。終わりは「まさに為らんとす」の『んとす』か、けちん坊の『ん坊』が多い。さて、あなたの辞書は? (本・MM)

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