コラム

2003/04/03

歪んだ二重社会(本・MM)

2003.04.03 【歪んだ二重社会】

▼世相は時代を映す。歌手で童話作家のさだまさしさんが、ある新聞紙上で18歳と20歳が混在する日本の二重構造社会を批判した。「成人映画もパチンコも18歳未満はお断り」。ところが「18歳妻子持ちで、犯罪を犯したら紙面には少年Aと載る」。18歳は大人か子供かと

▼20歳未満でも、親の承認があれば男子18歳、女子16歳で結婚できるのである。しかし、民法では未成年。さださんは、こうした矛盾構造に対して、本音と建前社会の交差するCM番組にも言及。「タバコの新製品」を宣伝しながら字幕に『健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう』と出る

▼酒の宣伝もしかり。『お酒は20歳を過ぎてから』。建前を超えて、本音が如実にすけて見えるのがノンバンクのCMだ。銀行の貸し渋りをよそに稼ぎ時と見て上場企業はひっきりなしに宣伝合戦を展開。テロップに流れる『借り過ぎに注意しましょう』とある。某社では「縫いぐるみワンちゃんが今や人気の的」との珍現象まで起きているという

▼建前と本音のウソは、だれもが身近に発見できる。戸建住宅が駆け込み寺となっている「子供避難所」がある。児童がいじめなどに出会ったときの一時逃げ込み場所である。ところが、なんのことはない。子供避難所には必ずと言っていいほど番犬が待ち伏せており、児童の掛けこみを困難にさせているのが実態だ

▼他にも、リストラ社員を待ち構えた就職雑誌の「転職フェア」特集や、大学入試の合格発表日での予備校のビラ配りまで散見される。酔っ払って忘れた振りをされても困るし、煙に捲かれないよう消費者は余程の覚悟がいるご時勢である。(本・MM)

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