コラム

2003/04/16

春不覚眠暁の季節(長・YK)

2003.04.16 【春不覚眠暁の季節】

▼春眠暁を覚えず。唐の詩人・孟浩然(もうこうねん)の春暁という漢詩の一節だ。全文は、春眠不覚暁、処処聞啼鳥、夜来風雨声、花落知多少。受験用の参考書をひっくり返してみる。夜が明けたのにも気づかず、うつらうつらと鳥の鳴き声を聞き、昨夜の雨で、花が一面に散り敷いただろう庭を思い浮かべている、と訳されていた

▼桜も咲き、普通の人にしてみれば漸く春が来て、一年で一番良い季節。しかし花粉症の筆者にとっては、ついに一年で一番辛い季節がやってきたという心境だ。正直言えば、春など来ないでいい。ずーと冬のままか一気に夏になって欲しいというのが本音

▼筆者も『春眠暁を覚えず』だ。それは、鼻が詰まって熟睡できずにいるからであって、残念ながら孟浩然の心境とはかけ離れている。無論、花粉の季節の前に注射などを打ち、花粉に良いと言われるお茶を飲んでいる。しかしそれで完治するものではなく、あくまでも症状を軽減するものでしかない。変な言い方をすれば不治の病なのである

▼花粉症患者は年々増え、5人に1人が罹っているという。これだけ罹患者がいるならば、林業政策の失敗を認めて、花粉症を公害病の一つに認定してもらいたいものだ。当然だが公共事業で杉や檜の間伐、枝打ちをして、花粉の発生を抑えるとともに、日本の美しい山を取り戻してもらいたい

▼5月のゴールデンウィークが過ぎれば、花粉症患者にとって本当の春がやってくる。日本経済も花粉症のようで、くしゃみ鼻水がひどい。企業によっては、死に至っている。日本の経済は5月になっても春は訪れそうもない。春眠のもうろうとした状態だ。(長・YK)

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