コラム

2003/06/04

ソユーズの帰還(前・HI)

2003.06.04 【ソユーズの帰還】

▼先月4日、国際宇宙ステーションに滞在していた飛行士3人が、ロシアの宇宙船「ソユーズ」にで帰還した。スペースシャトルは、今年2月に起きたコロンビア号の空中分解事故により飛行できなくなっていることから今回の飛行となった

▼かつて宇宙開発競争はロシア(旧ソ連)が先行していた。人類初の人工衛星は、ソ連のスプートニク1号が1957年に達成。続いて人類初の有人宇宙飛行は1961年、ソ連のウォストーク1号に乗船したガガーリンが。また女性初の宇宙飛行士となったのも、1963年ウォストーク6号に乗船したソ連のテレシコワだった

▼ソ連に先を越された米国が打ち出したのが、人類を月に送り込むアポロ計画。それは1967年、アームストロングらが乗船したアポロ11号により達成された。そして、ポスト・アポロ計画から台頭してきたのがスペースシャトル計画で、1981年にコロンビアが初飛行に成功している

▼ソ連はその後も、宇宙船サンリュートやミールなどによる有人宇宙飛行を続け、宇宙滞在記録更新など着実に実績を重ねてきた。1990年、日本人初の宇宙飛行士となった当時TBS社員の秋山豊寛氏もソユーズに乗船。日本人の多くが空を見上げ、宇宙という存在を身近に感じた瞬間だった

▼ロシアは、ソ連の解体、財政難という厳しい事情がありながら、有人飛行における努力を重ねてきた。とかく今の時代は一人勝ちの時代だ。その分野における勝者は数人・数社が市場を独占することも多い。しかし、活躍の場は来る。そう信じて、努力と競争を重ねる必要性を、ソユーズの飛行に痛感した。(前・HI)

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