コラム

2003/07/11

不安の時代を生きる(水・KK)

2003.07.11 【不安の時代を生きる】

▼一向に出口の見えない不況、失業への不安、ITなど技術革新や多様化する価値観の変化とそのスピードに取り残される恐怖。今、多くの人が「不安」という言葉を口にする。鬱病やパニック症候群で心療内科に通う人も急増している

▼6月後半から7月上旬にかけて恒例の安全大会を各地で取材したが、元バレーボール全日本代表の中田久美さん、マサカリ投法で知られる往年の剛球投手村田兆治さんの講演を聴く機会に恵まれた。お二人とも選手生命を断たれかねない大怪我から復活した不屈の精神の持ち主だけに、その生き方には大いに共感した

▼中田さんも、村田さんも類まれなる素質の持ち主だったろう。そして大変な努力家だった。そして選手としてまさにこれからという絶頂期にアクシデントに見舞われた。大手術と長いリハビリの日々の末、見事に復活し、中田さんは3度のオリンピック出場、村田さんはサンデー兆治として開幕11連勝を飾るなど大活躍、41歳まで投げ続け、通算215勝を挙げた

▼中田さんは手術の後、以前のようなプレーができず、一時期競技から離れ、実家に帰ったことがあるという。4か月の間、別に何をするでもなく気ままに過ごしたが、気持ちの中に何かがあって、それがひっかかって、いつもいらいらしていたという

▼村田さんは古武士然とした風貌に加え、その豪快なピッチングフォームや剛球投手というイメージも手伝ってか、特別に意志の強い人間と思われがちだが、本人は人一倍悩み苦しみながら生きてきた普通の人間と告白する。「弱いからこそ努力するんだ」この言葉こそ壁を乗り越えるヒントなのだろう。(水・KK)

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