コラム

2004/01/14

中央線の鉄道高架化(埼・YK)

2004.01.14 【中央線の鉄道高架化】

▼中央線の三鷹から立川区間の高架化が周辺に住む利用者だけではなく全国的に話題になっている。特に小金井周辺の開かずの踏み切りは、総理大臣までもが改善勧告するほどの悪い意味でも注目を集めた

▼そんな中、先日、ようやくJR東日本も対策として横断歩道橋を設置した。しかし、完成したとたん、またもや話題になった。それもブーイングの嵐。なんと高さは3階建てクラスで階段は80段以上、渡りきるまでの直線だけでも30m以上とか。テレビで見ると折りしもの強風と寒さで誰も積極的に利用する人はいない

▼鉄道の高架化により、交通渋滞は緩和され、それに伴い空気汚染は減り、通行する人も時間管理が容易になるため身近な良い公共事業のモデルにもなる。昨今の公共事業の逆風においても都市部の踏切対策とそれに伴う町づくりは重要視され、国民ほぼ等しく理解されている事業だからだ

▼しかし、事業そのものがこんな具合で問題視されていることは残念である。そもそも事業が悪いのではなく、工程管理するJRの進め方のミスに過ぎない。それなのに年末に行われた小田急の連立立体事業の裁判でもあったように事業そのものや手法の「悪」に置き換えられている風評が蔓延している

▼また、ここで一部のマスコミにも大いに責任があると反省を促したい。事業の「悪」と説明不足を全面的に取り上げ、完成後の利便性は強調されていない。このことは高架事業だけではない。社会資本の陰部だけの取材は見直す時である。今回の経緯を見て、今更ながら政府の市民不在の考え方が露見。バリアフリーなども含め高齢化社会への将来も垣間見えた。(埼・YK)

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