コラム

2004/02/07

申年と孫悟空のこと(本・SY)

2004.02.07 【申年と孫悟空のこと】

▼今年は申年なので猿についての話題は多い。樹木から樹木への軽快な移動など素早い印象を受けるが、干支では9番目。12種類の動物のレースでは最下位を競ったことになる。トップのネズミ、2番手のウシと比べても猿の方が速いと思うが、十二支の話ではそうなっていない。ウサギ以上に道草をしたのだろうか

▼確かに猿の目を見ると、人間より深く物事を考えているのではないかと感じることがある。身の回りの犬や猫を見ても、言葉は話さないが、感受性は人間より鋭い。猿は感受性が鋭いのに加え、独自の哲学を持っているような気がする。その思考の疲れを癒すため温泉にも入る。酒も飲む

▼猿が登場する物語で小さい頃から漫画などで愛読したのが「西遊記」である。三蔵法師の第1の弟子、孫悟空はあまりにも有名だ。三蔵法師を助けて西域からインドへ仏典を求めて苦しい旅をする。行く先々で妖怪に襲われる。如意棒を手にした孫悟空は八面六臂の活躍をし妖怪を退治する

▼ところが、三蔵法師は孫悟空を叱咤する。「むごいことをする」と言って、呪文を唱え、悟空の頭のリングを締め付ける。悟空はその激しい痛みでおとなしくなってしまう。いつもこの部分にくると、「自分が助けてもらっているのに何でだろう?」と考え込んでしまう

▼その答えはいまだに見つかっていない。「西遊記」は紀元7世紀の唐の時代、玄奘三蔵法師が仏典を求めて中央アジアからインドまで約17年にわたる修行の旅をしたことをもとに、明の時代に創作されたものである。実際には猿は出てこない。申年の今年、もう一度じっくり考えてみたい。(本・SY)

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