コラム

2004/02/26

新幹線の光と影(埼玉・YO)

2004.02.26 【新幹線の光と影】

▼3月13日、九州新幹線の新八代〜鹿児島中央(現・西鹿児島)が開業する。指定券の発売では初日、鹿児島中央駅を午前6時に出発する一番列車「つばめ30号」が発売開始から3秒で完売するなど、TV、新聞で話題になったばかり。今回の開業区間は約35分で結ばれ、博多〜鹿児島中央間は、これまでの約3時間50分から約2時間10分まで短縮され、九州も高速交通次代へ突入する

▼新幹線開通というと、私は東北、上越新幹線の開通を思い出す。当時両新幹線は大宮どまりで、上野までは、新幹線リレー号で接続していた。その後上野、さらに東京まで延伸した。九州新幹線も先行開通のため、新八代〜博多間は「リレーつばめ」が運行。新八代では新幹線と同一ホームでスムースな乗り換え環境を形成する

▼さて、新幹線開通はおめでたいことだが、ストロー効果なる言葉が頭をよぎる。高速道路整備などでも影の部分とされるものだ。秋田新幹線「こまち」開業に伴う、秋田駅周辺を始めとした地域を見ればわかる

▼それまでは、青森、岩手、秋田の東北3県は、移動手段が乏しく、ビジネスでもそれぞれに拠点を設けるか、ある企業のように、得意先回りで、秋田から青森まで行くのに1日仕事になる。新幹線を利用できることで、ビジネス拠点を盛岡に設定し、効果的に仕事を進められるようになったという

▼このため、秋田駅周辺では、オフィスビルの空きがかなり目立つ結果となっている。では、盛岡はどうか。買い物客などは、さらに大都市である仙台まで、新幹線で買い物に行くのだそうだ

▼今後の新幹線、高速道路整備では、地方と大都市を結ぶ計画が大半。産業振興効果が期待できない、ストロー効果ばかりが目立ったものともなりかねない。九州新幹線も、客を、ビジネスチャンスをよそに取られないよう、気をつけないと。(埼玉・YO)

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