コラム

2004/03/04

安全より危険の認識を(前・HM)

2004.03.04 【安全より危険の認識を】

▼天才ドライバーといわれたアイルトン・セナがイタリアのイモラサーキットに散って今年の5月でちょうど10年になる。セナが亡くなった高速タンブレロ・コーナー。時速250キロ以上で曲がるコーナーはドライバーの度胸が試される名物コーナーである

▼当然、常に危険を伴う場所でもある。このコーナーではセナの事故以前にも大きな事故が多発していた。かつてはネルソン・ピケ、ゲルハルト・ベルガーといった有名ドライバーがタンブレロの餌食になっている

▼いずれの事故も運よく軽傷で済んだものの、一歩間違えれば命に関わるような大クラッシュだった。厳しい見方をすれば、セナの事故は、以前から危険が指摘され、何度も「ヒヤリハット」を経験しながら、具体的な対策を怠ったために起きたと言えなくもない

▼工事現場では、安全第一を合言葉に常に無事故無災害に努めている。「安全」とは一体なんだろうか。広辞苑によると「安」は「やすらかなこと」、「全」は「欠けたところがまったくないこと」とある。つまり「安全」とは完全に安らかな状態を表現する言葉である

▼つまり「世の中には『完全』なものは無い」と言われる事と同様に「安全」というものも、また無いのである。「安全」を手に入れる事が出来ない我々には、極力「危険」を少なくする努力をする事しか出来ない。そのためには少しでも危ないと感じた「ヒヤリハット」を真剣に受け止め、対応する事が必要条件となる。セナが亡くなってから大規模改修が行われたイモラサーキット、その後大きな事故は起きていない。一般道路でも対策を考えなくてはなるまい。(前・HM)

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