コラム

2004/03/20

野次に見る愛情(前・HI)

2004.03.20 【野次に見る愛情】

▼元・広島東洋カープ選手で、現在はTBSプロ野球解説者などを努める衣笠祥雄氏の講演を聞いた。2215試合連続出場の世界記録や国民栄誉賞受賞など輝かしい実績、そして「鉄人・衣笠」に代表される抜群の知名度が多くの来場者を集めた

▼講演が始まると、抑揚のある声、的確なジェスチャー、そして親しみやすい笑顔が醸し出す人間的魅力が聴講者を引きつけた。内容は自らの野球人生を中心に語られたが、野球好きはもとより、そうでない人も飽きさせないエピソードを盛り込みながら進んだ

▼その中で、選手に向かって飛ばす「野次」について「野次られれば誰だって気分は悪いが、私は、野次を発憤(はっぷん)材料にするにはどうすれば良いか考えた。そして、野次を飛ばすのは、その人が好きな選手にすること、好きな選手が活躍しないときに野次るということがわかった」。注目している、期待している、その反動が野次になって現れているというのだ

▼そう考えると公共事業や建設業に対する批判も、おしなべて国民からの期待と取ることも出来はしまいか。実際、毎日接する道路や家を造ってくれる建設業に対する関心、税金を使って行われる公共事業への注目度は、決して低下していないのが現状である

▼衣笠氏は、プロ野球史上2番目に多い161個の死球を受け、実際にはケガも多かった。「やめよう」と思ったことも度々。高校を卒業してプロ入りした時から、いつかはやめる日が来ることを思いプレーしてきたという。建設業や公共事業に対する批判の裏には、強い期待が込められていると、前向きに解釈できる。(前・HI)

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