コラム

2004/05/12

21世紀の海洋土木(本・SY)

2004.05.12 【21世紀の海洋土木】

▼「21世紀に入り、エネルギー埋蔵量の問題や環境問題への対応などから海洋エネルギー資源の採掘、海洋自然エネルギーの活用など海洋エネルギーへの期待が大きい。20世紀の海洋土木は、海峡横断施設、大水深埋立、海洋石油基地など多様な展開を見せてきた。21世紀の海洋土木への期待と要請はより広範な様相を見せつつある」

▼日本海洋開発建設協会の平成16年度事業計画の本文の抜粋である。海洋土木技術が海洋エネルギー資源の開発問題と密接につながっていることを強調している。海洋エネルギーの中でも特に注目されているのがメタンハイドレートである。メタンハイドレートは、メタンなどの天然ガスが海底の低温と高圧によって固体になったもので、日本近海の海底をはじめ、世界各地の海底に広く分布している

▼ポスト石油エネルギーのひとつとして日本も資源化のための調査実験を積極的に行っている。日本近海には天然ガス使用量の約100年分のメタンハイドレートがあると推測されている。実用化するに至れば、エネルギー資源の乏しい日本にとって貴重な埋蔵資源である

▼日本海洋開発建設協会では、メタンハイドレートを中心とした海洋エネルギーの開発のための海洋土木技術の研究を推進する。建設産業は21世紀のエネルギー戦略の一翼を担っている

▼しかし、メタンハイドレートの開発には、地球温暖化の問題が横たわっている。地球が長い年月をかけて海底に閉じ込めた温室効果ガスを人間の手によって解き放つことになりかねない。エネルギー開発とともに地球環境保全技術も建設産業にとって最先端の課題である。(本・SY)

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