コラム

2004/05/13

「雨ニモ負ケズ」(長・YK)

2004.05.13 【雨ニモ負ケズ】

▼『雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル』。宮沢賢治が病床で手帳に記した走り書き文の一節だ

▼筆者は娘たちが6歳になるとお風呂で100まで数える代わりに、この『雨ニモ負ケズ』を暗唱させていた。最初のうちは、なかなか憶えられず泣いていた。負けず嫌いの真ん中の娘は、熱い風呂が好きなのだが、この時ばかりは『雨にも風にも負けないけど、お風呂の熱さには敵わない』と真っ赤な体で足を踏みならし、半べそかいて風呂の温度を下げるように訴えていた

▼今では下の娘も、最後まで言えるようになっている。しかし無理もないことだがその意味は、6歳前後の子供には理解できていない。特に『寒さの夏』や『野原の松の林の陰』などはいくら丁寧に説明してもイメージできなかったようだ

▼賢治は農業と病身の我が身を念頭に『雨ニモマケズ』書いたらしい。しかし現代では建設業の方がこの文にあてはまるようだ。大雨が降れば道路パトロールに出かけ、風が吹けば資材が飛ばされないか出掛け、雪でも炎天下でも工期を守るため仕事をこなす。それでいて感謝されることも少なく、しまいには税金の無駄扱いだ

▼『雨ニモ負ケズ』の文末は『ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイフモノニワタシハナリタイ』となっている。学生の時、会社法の教授に『仕事に誇りを持ち、感謝されながら、利益をあげ、社会に奉仕・還元するのが企業』と教えられたのを思い出す。(長・YK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら