コラム

2004/07/28

「よろずよ」の橋(新・K)

2004.07.28 【「よろずよ」の橋】

▼新潟市のシンボル「萬代橋(ばんだいばし)」が国の重要文化財に指定された。土木構造物が指定されたのは新潟県内では初めて。国道橋としては東京の「日本橋」に次いで全国で二例目となる

▼橋の特徴は、側面全体に花崗岩を施した重厚な外観や6連アーチの律動感に代表されるデザイン性の高さにある。また、建設当時の鉄筋コンクリート構造物としては我が国最大の支間を実現したことも特筆すべき点だ

▼折しも今年は同橋(三代目)が架設されてから75周年にあたる。そこで架橋当時の姿への復元工事や各種イベントが計画されており、今回の指定が花を添える形となった。国の重要文化財と聞くと遠くからただ鑑賞するイメージがあるが、「萬代橋」は普段から頻繁に利用しているせいか、重要文化財であるという実感が沸かない

▼初代の橋は「萬代橋(よろずよばし)」と呼ばれ、明治19年に当時日本一長い木橋として完成。その後、新潟大火による消失や架け替えを経て、昭和4年に本格的な自動車交通の幕開けに対応するため現在の三代目が永久橋として架設された。昭和39年の新潟地震にも耐え、市民の足として活躍したことから、現在も橋名に込められた願い通り「よろずよまでも新潟の発展に尽くす」ことに貢献している

▼昨今の公共事業費削減の流れの中、既存の社会資本をいかに有効活用するかが重要なテーマになっている。「萬代橋」は重要文化財になったとはいえ、今まで以上に利用されるのは間違いない。「萬代橋」に限らず全国各地の社会資本が住民から愛され、「よろずよ」まで地域の発展に貢献することを期待したい。(新・K)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら