コラム

2004/09/22

正念場の下水道整備(本・SY)

2004.09.22 【正念場の下水道整備】

▼去る9月10日は「下水道の日」。今年度の標語は「下水道 青い地球の 交通網」。全国で各種行事が実施された。9月8日には「いきいき下水道フェスティバル」が東京の日比谷公会堂で開催され、その中で国土交通大臣賞の表彰式や下水道フォーラムが行われた

▼「下水道の日」は、著しく遅れていた日本の下水道の普及促進を図るため、「全国下水道促進デー」としてはじまった。現在の「下水道の日」は、平成12年に旧下水道法が制定されてからちょうど100年目を迎えたことを契機として名称が変更された

▼下水道の普及率は平成15年度末現在で処理人口普及率が全国平均66・7%にまで達した。昭和40年代前後の高度成長期の頃と比べると隔世の感がある。しかし、欧米の主要先進国の下水道普及率から見ると、まだ大きな開きがある。普及率の問題だけでなく、汚水と雨水を一括処理する合流式下水道の改善の問題もあり、日本の下水道整備はこれからが正念場と言える

▼水道や下水道というと、日本では地下の施設でもあり、話題にされることも少ないが、欧米、特に上下水道の歴史の古いヨーロッパでは「文化」として市民の生活に定着しているようだ。サスペンス映画の傑作「第三の男」のクライマックスはウィーンの地下水道の中での追跡シーンである

▼ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」ではパリの下水道の歴史を約100ページにわたって描いている。映画や文学にしばしば登場するヨーロッパの下水道。日本でも「地上の星」ならぬ「地下の星」下水道の役割を効果的にPRする時期にきていると思う。公共事業もPRの時代だ。(本・SY)

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