コラム

2004/10/08

グットマン博士の言葉(水・KK)

2004.10.08 【グットマン博士の言葉】

▼記録ずくめの暑い夏の名残りも去り、秋本番である。スポーツに読書に行楽にと一年中で最も過ごしやすいこの時期、休日には各地で市民運動会やスポーツイベントが盛んに行なわれる

▼先日、ラジオで素晴らしい言葉を耳にし思わずノートに書き留めた。「失われたものを数えるな。残っているものを最大限に活かせ」ーパラリンピックの生みの親ユダヤ人医師ルードヴィッヒ・グットマンの言葉だ。彼は脊髄損傷のため車いすの生活になって、ふさぎこんでいた若者にそう言ってスポーツを勧め、勇気と希望を与えた

▼諸先輩には恐縮だが、40代も半ばを過ぎ年々体力の衰えを感じる。私事だが毎年春と秋の二回、マスターズ水泳大会に参加している。タイムは年々右肩下がりである。今年の春の最高齢の参加者、79歳のTさんと話した。ゆったりとした伸びやかな泳ぎで男子100m自由形75歳区分で優勝した

▼Tさんは元トップ選手ではない。水泳を始めたのは50を過ぎてから。柔軟体操を入念にやり、飽きずに基本を繰り返す。ややきついと思われるくらいに体に負荷をかける。「若い頃の力をあてにしないこと」と言う

▼アテネパラリンピックを熱心に観た。出場選手のパフォーマンスのすごさ、レベルの高さには驚くばかりだった。パラリンピックを記録を度外視した福祉の大会などと考えたら大間違いである。パラリンピックでの陸上男子100mの全クラスを通じての世界記録は10秒72である。最高レベルの国際競技大会に違いない。年齢にしろハンディキャップにしろ、残っているものを最大限に活かす。グットマン博士の言葉は名言である。(水・KK)

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