コラム

2005/01/29

胃腸炎と事業再生(松・JI)

2005.01.29 【胃腸炎と事業再生】

▼大流行の胃腸炎を息子から譲り受け、貴重な休日を寝床で過ごした。なんとか2日間で体調は復活。1週間苦しんだ息子と比べれば、やはり基礎体力が違うというところだろうか

▼布団の中で「事業再生」(田作朋雄著・角川書店刊)を読んだ。著者は企業の合併・買収、事業価値分析の専門家。「どんな企業も倒産の危機を抱えている時代」と指摘し、事業再生を「企業体としての会社より、事業そのものを再生させていく考え方」と説明する

▼これまでの日本では、業績悪化で倒産する会社に「悪」「恥」というレッテルを貼り、再起のチャンスがなかったと疑問を提示。傾いた企業でも立派な「資産」を有している場合が多いと述べ、こうした企業の復活の道が開けてこそ、産業構造も大きく変わる、と説いている

▼本書では厳しい言葉もある。『「俺の会社」を存続させる』というだけでは経営者の責任を果たしえず、「従業員の雇用と、それを支えるための事業基盤の維持」という視点こそ必要と語る。経営陣と従業員の士気や事業基盤があれば立ち直ることが可能であり、金の問題は「一番処方箋が書きやすい」とのこと。ここでは債権放棄や会社の身売り、スポンサー獲得、資産売却などが挙げられている

▼事業基盤、そして人こそ大事と説く著者だが、業界全体の状況も重要と述べる。業界全体が「成長しているのか、停滞しているのか、衰退しているのか」で企業存続の判断が異なってくると言う。残念だが決して成長とはいえない建設業界。現状は停滞なのか、衰退なのか。胃腸炎と違い、会社の再生は基礎体力に頼るだけでは難しいようだ。(松・JI)

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