コラム

2005/01/28

偉人も歴史に学ぶ(水・KK)

2005.01.28 【偉人も歴史に学ぶ】

▼今年のNHK大河ドラマ『義経』が9日、始まった。時代が貴族から武士の世の中に動こうとした平安時代の末、天才的な戦術と勇敢な働きで平家打倒の立役者となった源義経。しかし生き方や価値観の違いから兄頼朝に疎んじられ、ついには滅ぼされてしまう

▼一般に冷徹非情な政治家と評される源頼朝だが歴史家、識者の評価は極めて高い。米誌『タイム』も頼朝を12世紀最大の偉人として選んでいるほどだ(2000年10月)

▼全国の土地と富を独占し専横の限りをつくす平家に対し頼朝は各々の武士の所領を安堵して、主従関係を結ぶ。自らは武士団の利益代表となる組織づくりを目指したため、部下を取りまとめるのを第一と考え、弟であろうと特別扱いしなかった。京育ちの義経は藤原摂関家や平家の栄華を源氏の手にと夢見ていたため朝廷から喜んで検非違使尉(判官)の官位を受けてしまう

▼経営者に人気の徳川家康も歴史に学んだ偉人の1人だ。家康は自分の身内は御三家として遇したが、政権の中枢には譜代の忠臣を置き、一門には政治に関与させなかった。言うまでもなく、内側からの瓦解を防ぐためだ。また大坂夏の陣で豊臣秀頼を滅ぼした後、秀頼の遺児で8歳の幸松を周囲の助命にも耳を貸さず処刑してしまう。家康は、平清盛が頼朝を助けたことが平家の命取りになった歴史を忘れていなかった

▼最大の功労者でありながら、悲運の最期を遂げたことで悲劇のヒーローとなり今日まで語り継がれる源義経。だが時代を見る目、スケールの大きさでは頼朝には遠く及ぶまい。「判官贔屓」は民衆のささやかな抵抗なのかも知れない。(水・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら