コラム

2005/03/05

甲州金と新紙幣(甲・TH)

2005.03.05 【甲州金と新紙幣】

▼昨年、日本三大急流のひとつの富士川流域で、江戸時代初期の甲斐国(現・山梨県)で作られた甲州金(こうしゅうきん)が川底の岩盤の割れ目で発見された。専門家の話では「難破船から落ちたものではないか」あるいは「洪水で旧家が流された際のものではないか」と話題に

▼発見された甲州金は、直径15ミリ、厚さ1・4ミリ、重さ約3・7グラムの壱分判。現在の価値に換算すると、5万円相当になる高価なもの。甲州金は、戦国時代から江戸時代まで甲斐国で使われた独特の地方通貨で、江戸幕府の貨幣制度の基礎にもなったと言われている

▼種類も様々あり、当時の若年寄筆頭水野忠定の「定」の字を入れた「甲定金(こうさだきん)」、徳川幕府3代将軍家光の3男綱重の「重」の字を入れた甲重金(こうしげきん)」などが有名だ。甲斐の名将武田信玄が、今川氏から富士、安倍の金山(現・静岡県)を手に入れ、志村・野中・山下・松木の4家に命じ、作らせていたらしい

▼甲斐武田氏支配期では、当初は貨幣というより、軍用金や恩賞に使われていた。戦国期にあっては、いつ起きるか分からない戦いにも、運搬が容易で、どこでも通用し、かつ部下に対する恩賞としての絶大な効果があるとなれば、戦国武将が目の色を変えて金山の開発や争奪戦を繰り広げたに違いない

▼1984年以来、20年ぶりに紙幣のデザインが変更された。新紙幣の発行は、ATM(現金自動預け払い機)や自動販売機の更新をはじめ、様々な新たな需要を喚起させる。疲弊した日本経済を浮揚させる「新紙幣効果」に大いに期待したいところである。(甲・TH)

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