コラム

2005/03/10

ファンタジー営業部(本・SY)

2005.03.10 【ファンタジー営業部】

▼平成15年2月、前田建設工業?(東京都)内に「ファンタジー営業部」が設置された。昨年末に刊行された「前田建設ファンタジー営業部」によると、「受注に関し、同じパイを取り合うと評される建設業界において、他社が一切未参入の分野が、映画、テレビ、マンガの劇中の世界だと気づいた時、迷わず空想世界対話装置の開発に着手した」という

▼そのファンタジー営業部が最初に取り組んだプロジェクトが「マジンガーZ地下格納庫一式工事」。マジンガーZは、機動戦士ガンダムなどとともに1970年代から1980年代にかけて、いわゆる「ロボットアニメ」として幅広い人気を集めたテレビ番組である

▼同書には、この地下格納庫一式工事を受注して建設するとしたら、どんな土木工法を使うか、積算はどうなるか、などをファンタジー営業部のスタッフが同社の専門家だけでなく、関連メーカーの専門家と徹底的な打ち合わせをしていくところが誌上で再現されている

▼関係者の打ち合わせを読んでいくうち、「これは決してファンタジーの世界ではない」と思った。地下格納庫がマジンガーZの敵である機械獣に攻撃された時、「どうやって地下格納庫を破壊から守るか」この質問を受けた某設計本部長が「それは大地震の際の耐震検討と非常に似ている」と答える

▼また、ある技術者はマジンガーZ発進後に格納庫に水が残り大きな水圧がかかる問題について「コストを下げることも重要だけど、我々が造る構造物は環境への影響が大きいし、何より人命にかかわってくる。万が一にも安全が大事なんだ」と語る。建設技術者の底力を見る思いがした。(本・SY)

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