コラム

2005/03/11

小売業の本質とは? (水・KK)

2005.03.11 【小売業の本質とは?】

▼今、地域の商店街に元気がない。平成15年度商店街実態調査によると、繁盛していると答えた商店街はわずか2・3%。96・6%の商店街が停滞もしくは衰退していると回答。確かに空き店舗やシャッター通りが各地に広がっている

▼日本の小売業はかつてない危機的状況に陥っている。大手百貨店の業績不振は枚挙にいとまがなく、専門店や一番生活に身近なスーパーマーケットも低落傾向に歯止めがかからない

▼多くの産業と同様に小売業も時代の曲がり角にある。我が国の発展は都市化と軌を一にしてきた。とくに戦後の復興期とそれに続く高度成長期には、とにかく庶民のために安く商品を提供することが是とされたが、今日の成熟時代を迎え、安ければ売れるという考え方はもはや過去のものとなったのではないだろうか

▼Hさん(62歳)は大手紳士服専門店で20年間売り上げトップを記録している。年間売上高1億円以上、スーツを中心に1日平均50〜70万円売るというプロ中のプロだ。客の好み、感性といった感覚的なものを満たす才人なのだろうが、とにかく客の要望に熱心に耳を傾ける人だ

▼日本以上に競争の激しいアメリカで、ウォルマートやホームデポが常に勝ち組のトップにいるのは、客と向き合うビジネスという小売業の本質から、客との対話を重視してきたからだろう。最も客に近いところにある各店舗に権限を渡し、本部はサポートに徹している。日本の小売業は流通業や大企業を目指し、小売業を目指してこなかったのでは。本部は商人ではなくサラリーマンを求めてきたのでは。今こそ人を大切にする小売業が求められる。(水・KK)

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