コラム

2005/03/23

歴史に残る「建設物」(前・HM)

2005.03.23 【歴史に残る「建設物」】

▼「地図に残る仕事」。以前、テレビコマーシャルで聞いたフレーズ。建設業界を的確に言い表したいい言葉だと思う。道路、橋梁、ビルもまたしかり。全て地図に残されていく

▼先日、埋蔵文化財についての講演を聞いた。そのなかで、7〜8世紀頃、つまり古墳時代に作られたとされる基幹道路が紹介されていた。その道路は、両側が側溝で区画され、幅は約13mと一定、きれいに一直線に伸びている。これまでに約1?がほぼ直線でつながる事が確認されている。当時の測量技術、建設技術の高さが覗える。遥か昔、その道を通り、人が、文化が行き来していたのであろう

▼講演会の帰り、ちょっと遠回りをして、その発掘現場をのぞいてみた。休みの日とあって、ブルーシートに覆われていて全景は分からなかったが、講演の時に見た写真を思い返しながらまわりを歩いてみる。講演で聞いたように、わずか数10m隣には当時すでにあったであろう古墳が見える。遠く見える山々も昔のままだろう。当時の景色を想像しながら周辺を歩き、この道を作った人の気持ちを考えてみた

▼1000年以上の時を経て、掘り起こされ、当時の姿を今なお残す「建設物」。感動する。この道を設計した人、現場を監督した人、実際に作業にあたった人。もし、今の気持ちを彼らに聞くことが出来たら何と言うだろうか

▼地図に残る仕事、しかし地図に残るだけではない、紛れもなく歴史に残る仕事である。当時の技術者はきっと胸を張ってこう言うのではないだろうか「これは私の仕事だ」と。この様に建設業が、いつまでも誇り高い仕事であって欲しいと心から願う。(前・HM)

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