コラム

2005/03/26

不可解な年次改革要望書(本社・MM)

2005.03.26 【不可解な年次改革要望書】

▼構造改革を掲げて平成13年に戦後27人目(歴代56人目)の首相になった小泉純一郎政権は任期満了までに、在職期間で、今年8月に歴代4位の池田勇人元首相を抜き、戦後3大首相といわれた吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘氏に迫る勢いだ

▼就任当時は「疲弊した古い体質の自民党を倒す」とまで豪語したが、道路公団改革を筆頭とする特殊法人改革や改革の本丸「郵政民営化」から、公共事業の競争政策、独禁法改正の施行、談合防止などの改革を着実に断行している。一体、その構造改革の知恵や発想はどこから湧いてくるのであろうか

▼もし改革の小槌があったなら、あるいは数年後の日本に何かが起こるのを知ることができる魔法の文献があったなら、さぞ国民は驚くに違いない。実は魔法の文献が存在するのである。米国の『年次改革要望書』がこれにあたる。要望というより機構改革や規制緩和を行えと、毎年一方的に通達されるものだ

▼もっと簡単に言えば、米国が日本市場に参入する際に障害になるものを米国の主導で取り除く日本改革リストである。1993年に宮澤元首相とクリントン前大統領の首脳会談で決まったとされ、1989年に米国は、日本市場に米国企業が参入できないのは、日本の閉鎖的な市場制度や流通機構などに問題があるとした「日米構造協議」の延長線上にあたるものといえる

▼実に不可解な年次改革要望書だが、小泉改革政策は米国の思いのままに大半が実行された。米国はこの事実を在日米国大使館のホームページで公開しているが、政府は一切公表しない。かつての米国の占領政策をかい間見る思いである。(本社・MM)

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