コラム

2005/04/08

殿様と社員研修(水・KK)

2005.04.08 【殿様と社員研修】

▼待ちに待った春本番である。新潟県中越地震の被災者、記録的大雪に見舞われた東北地方の人々にとって今年の春ほど待ち遠しかった春もなかっただろう。今年も満開の桜の樹の下を大きなランドセルを背負った新一年生、真新しいスーツに身を包んだ新社会人など、それぞれが新たな第一歩を踏み出した

▼江戸時代の大名は領国においては殿様であるが、幕府組織においては、現代の役人やサラリーマンの立場も併せ持っていた。江戸幕府の政治の責任者は老中である。これに若年寄を加えて内閣が形成されていた

▼老中や若年寄などの幕閣へ出世できるのは譜代大名に限られていた。譜代大名はまず奏者番に任命される。奏者番は諸大名や旗本が将軍に謁見する際の伝達役でいかに家格が高くても必ず務めなければならない。奏者番はなかなかつらい仕事で、上位者である寺社奉行などの前では言葉も態度も改め、何かあると満座の前でもすぐに叱りつけられ、食事は一番最後と先輩から家来のように扱われた

▼奏者番は譜代大名の就く一番下の役職ではあるが、彼らはそもそもが大名であり、幼い頃から家臣にかしずかれて育っている。奏者番のうちに殿様気分を直し、勤めの何たるかを教え込むのが幕閣たちの論理であった。老中や旗本の出世頭である目付まで登りつめた人は能力に加え器量も大きかったという

▼新年度になり、各企業では入社式が行われ、社員研修がスタートした。一人っ子が多く、大学まで厳しいしつけをされてこなかった世代にとっては窮屈な面もあるだろう。社会人としての基礎を身につける絶好の機会であると考えたい。(水・KK)

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