コラム

2005/07/09

心を幻滅させる景観(さ・YW)

2005.07.09 【心を幻滅させる景観】

▼景観法が完全施行されて1か月が経過した。各自治体では景観保全地域指定などの動きを少しずつ起しており、景観について少しずつだが敏感になりつつあり結構なことだ

▼先日、京都を訪れ10円玉に載っている平等院鳳凰堂を初めて見学した。横に長く美しい木造の建物は安堵感を与える。ところがすぐに少し幻滅した。正面から見ると、右側に平等院鳳凰堂の景観ににつかわしくないマンションが2棟見える。現像に出すとやはりしっかりと写真に収まっていた。多くの観光客も同じことを感じるのではないだろうか

▼その場その場で不都合と言っても過言ではない景観とは結構あるもので、シャッターを切る位置を悩ませる。忘れられないのはデンマークのコペンハーゲンの人魚姫の像だ。世界中の観光客が人魚姫の銅像脇に立ち写真を撮る。ところが、その後ろには軍需工場か軍港のような施設が並びメルヘンチックなシチュエーションを少し興ざめさせたものだ

▼逆に景観がまるで絵ハガキのような美しい情景も多く、行ってみたい気を起させるのも事実だ。例えば、黒の外観の松本城のバックに青い空と真っ白な山々が綺麗なシルエットをかもし出す所は松本市内のどの辺りなのか想像する。そしていつの日か自分の目で確かめたいという欲求にかられる

▼このように人それぞれ景観に対しては固有の思いがある。しかし、すべての人が共有することは美しい景観に心から感嘆し、また見たい、記念に写真を撮りたいという景観そのものに対する敬意の念ではないだろうか。心を幻滅させる景観は排除し、有効に景観法が機能することを心から期待する。(さ・YW)

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