コラム

2005/07/14

迷った時の対処法(松・JI)

2005.07.14 【迷った時の対処法】

▼暑い夜は寝つけず苦しむことが多い。冷房は苦手なため使わない。翌朝早く起きるのだから急いで眠らなければと思うほど目が冴えてしまう。やがて今日の仕事、明日の仕事が頭に浮かんでくる。こうなると、たとえ「羊が一匹、羊が二匹」と数えても眠れない

▼「多岐亡羊」(たきぼうよう)という言葉がある。羊が複数の道に逃げたため見失ったという故事に由来するもので、何を選択すれば良いか迷うことを意味する。迷うという点では「右顧左眄」(うこうさべん)もある。周囲の情勢をうかがってぐずぐずしているという意味だ。「左顧右眄」でも良いらしく、これまたどちらを使うか迷いそうである

▼月に一度、所用で特急に乗る。ここで迷うのは列車内で何を読むかである。小説にすべきかビジネス書か、新聞か雑誌か。売店の前で腕組みして考えたあげく、結局は一番最初に気になっていたものを選んで購入したりする

▼ショウペンハウエル著『読書について』(岩波文庫)には、読書界に大騒動を起こし多数の読者がむさぼり読むような書物には手を出すなとある。この言葉を、何を読むか迷った時の判断基準にするには少し腰が引ける。話題の書というものは、他者とのコミュニケーションに必要な時もある

▼日本経済新聞に元ヤクルトスワローズ監督の野村克也氏の話が掲載されていた。古田捕手への指導では根拠のないサインを出すなと厳しく叱ったこともあるという。「迷った時は原点だ」と教えたことも書かれていた。野球の場合は外角低め直球とのこと。スピードが求められる現代、本選びのみならず仕事でも「原点」は判断基準の一つになる。(松・JI)

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