コラム

2005/08/18

シンプルと多機能(前・NK)

2005.08.18 【シンプルと多機能】

▼自他共に機械音痴を認める友人がいる。「レンタルビデオは巻き戻して返却」という原則を守るべく、つい最近までレンタルDVDも必死で巻き戻していた。巻き戻し→自動再生→あわてて一時停止→巻き戻し…と、四苦八苦していたそうだ。CDとカセットテープの違いを例に説明したら、DVDは巻き戻し不要とようやく納得してくれた

▼それを耳にしたAV機器メーカーに勤務の知人は、さっそく職場で「取り扱い説明書に明記すべきか」を話し合ったという。商品を作る側が思いつかないような不満をもっているのがユーザーである。生の声を聞くのがなにより開発の参考になるそうだ

▼設備機器メーカーのノーリツは40代〜70代を対象に、冷蔵庫などの家電からパソコン、電話などの通信機器に至るまで、家庭内機器に関するインターネット調査を行った。使いにくい機器の代表格は携帯電話。60代では4割が「操作しづらい」と解答した。多機能ゆえに使いこなせないのが主な理由

▼ツーカーでは、固定電話並みの機能だけを搭載した携帯電話「ツーカーS」を発売。これがシニア世代を中心に受け、昨年秋から年末にかけては契約者の純増数でボーダフォンを上回った。競合3社が、テレビ付など多機能商品を続々と市場投入する中、電話としての基本部分「通話」にこだわった結果だ

▼建設業が関わる「住」の分野でも、デザイナーズ住宅が人気を集める一方、昔ながらの素材でできた健康住宅や、徹底したローコスト住宅へのニーズもある。企業として生き残るために、どの部分を追求し「売り」にするか。明確にしなければならない時期が来たのかも。(前・NK)

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