コラム

2005/12/23

重圧前に気持ちの余裕を(水・KK)

2005.12.23 【重圧前に気持ちの余裕を】

▼去る14日、衆議院国土交通委員会で耐震強度偽装問題の証人喚問が行われた。居住者を大変な不安に陥れた重大な事件で一刻も早い真相究明と再発防止システムの構築が求められる

▼元建築士は「仕事が無くなり、収入がゼロになるかもしれないプレッシャーに弱い自分が負けた」と告白した。被害住民は「自分の生活のためには、他人の安全など顧みない卑劣な行動」と斬り捨てた。彼らの怒りは当然だろう

▼プレッシャーに対して慌てたり、パニックに陥ったする心理の根源には恐怖心がある。人は怖さから逃れようとして慌てる。その恐怖心は、「何かを奪われるかもしれない」という喪失感からきている。生命、財産、地位、名誉そして家族…それらに対する執着心をなくしてしまえばプレッシャーなど無縁の「無敵の強者」だろうが、凡人には無理な相談だ

▼「今日の問題を明日に持ち越すな」−子どもの頃から親や教師に事あるごとに言われてきたため、多くの日本人は何事にも反射的に敏感に反応してしまう性向を身につけてしまったのではないだろうか。それが日本人の勤勉さに結びつき、今日の繁栄につながったともいえるのだろうが

▼「スローライフ」が時代のキーワードになったのはつい最近のことだが、時代はますますスピードアップし、プレッシャーをかけてくる。携帯電話の普及などで、待ったなしの即答を求めてくる。しかし焦って余計なことを口走ったり、慌てて行動したりして失敗する危険をはらんでいる。悪徳商法なども人の焦りにつけこんでくる。忙しい時代こそ一度立ち止まる気持ちの余裕を持ちたいものだ。(水・KK)

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