コラム

2006/03/21

最近、手でかいてますか?(水・HN)


▼「CADで製図する以前に、人間の手と脳を使って考えてスケッチし、建物をイメージすることが大切」とする横須賀満夫建築設計事務所(茨城県水戸市)の模型・スケッチ展「建築をつくる」が、市内で開かれた

▼同事務所が設計を手掛けた公共施設などの作品22点のブースをメーンに、建築物の原点となるスケッチなど、およそ100点を展示。パースや設計図などの「成果品」が展示されたものを目にすることは多々あったが、その大元となるラフスケッチを目にする機会はなく、新鮮だった

▼完成されたパースや設計図は確かにすばらしいと思っていたが、どこか人から生まれたものに見えない気がしていた。だが、これを目にして、設計やパースは人間が考えて描いて生まれたものなんだと改めて実感。また、手で描くことが人のイメージをこんなにも広げているのだと改めて痛感した

▼これは何も設計に限っただけのことではない。情報機器が生活に浸透する昨今、文章をパソコン、ワープロで打つことが多くなり、手で書く機会が少なくなっている。読み仮名や文節でおおよその漢字が変換され便利だが、いざ手で書く際は苦労する。また年賀状や礼状などでも、手書きの方が気持ちがこもっているように感じる

▼確かに情報機器を使えば効率的に「成果品」が出来上がるかもしれない。だが、あくまで人が作り出すもの。考える時間、回り道を惜しんではいけない。現実的にシステム上パソコンに依存することは避けられないため、手書きに戻すというわけにはいかない。しかし手で書く機会を最低限設けることで原点を忘れずにいたいものだ。(水・HN)

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