コラム

2006/05/22

理想の住まいについて(本・UT)


▼社団法人不動産流通経営協会がまとめた「団塊ジュニア世代と団塊世代の、理想の住まい像調査」が興味深い。ジュニア世代では「親元の近く」「子育て環境・治安」がキーワードになっている。一方の団塊世代は、「子供の近く」「買物に便利」を重視。お互いにつかず離れず、近居を志向していることが見てとれる。顔が見えることの「安心」は、やはり大きい

▼理想の住まいを創るうえで譲れない条件としては、ジュニア世代が「治安・子育て環境」、団塊世代では「病院やケア施設の近く」が挙がった。また「災害上安心なところ」「自然環境が豊か」など、環境条件を選択する傾向も見られる

▼興味深いのは耐震性への意識。仮に中古住宅を取得する場合、新耐震設計基準を重視する意識は、年齢が若くなるにつれて高くなる傾向にある。とりわけジュニア世代では、61・9%が新基準であることを購入条件に挙げている。調査によると、男性よりも女性のほうが耐震性への関心が高いという

▼耐震強度偽装事件では、姉歯元建築士ら関係者が逮捕された。昨年から続くこの問題。建築基準法、建築士法の改正はもとより、「建築のあり方」そのものを、大きく見直そうという議論が続けられている。どういう着地点に行き着くのか、成り行きに期待したい

▼いつかは海辺で暮らしたいと考えているヒト、温泉の多い町に住むことを計画しているヒト、あるいは、きらびやかな都会の真ん中での生活を目標にしているヒト。希望の住まいに対する思いは、千差万別だ。満員の通勤電車に辟易している筆者の場合、始発駅近辺がささやかな希望である。 (本・UT)

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