コラム

2006/06/12

頑張れば報われること(前・NK)


▼サッカーWカップ・ドイツ大会が9日開幕した。12日初戦まであとわずか。日本代表も現地で調整を続けている。今回、招集された23名のメンバーのうち、FWの巻誠一郎選手(JEFユナイテッド市原・千葉)の選出は、ジーコジャパンのサプライズとして受け止められた。代表Aマッチで最多得点をあげている久保竜彦選手(横浜Fマリノス)を抑えての代表入りだった

▼巻選手は天才型のストライカーではない。ボールの扱いもスマートとはいえないし、ファンタジスタでもないようにみえる。『チームの勝利が第一』で、得点を上げることが自分の仕事、と公言する大多数のFWとは少し違っている

▼「利き足は頭」と自身で語るように、184?という長身を活かしたプレイスタイルが魅力。だが、それ以上に評価されるのは、試合中のひたむきな姿勢だ。試合終了のホイッスルが吹かれるまで走り抜く。ゴール前での競り合いも食らいついていく。自陣に攻め込まれることがあれば、前線からもどり守備に徹する。最後まであきらめない姿は、高校サッカーのような爽快感を感じさせる

▼喪失の世代といわれる若者達は「努力してもしょうがない、所詮はこんなもんだろう」と、多くが将来に希望を持てず、野放図に時間を過ごしているように見える。反面、自分は他の人間とは違うといった妙な自負が目立つ

▼巻選手の代表入りは「頑張れば報われる」ことの証明に他ならない。いつの間にか死語になってしまったが「頑張ること」が多くに通じる重要な要素であることは確かだ。彼がドイツで、とびっきり泥臭いゴールを決めてくれることを祈っている。(前・NK)

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