コラム

2006/06/26

嫁ぐ日の朝は三つ指ついて(前・NK)


▼30年間育ててもらった親の元を離れ、嫁ぐ日が近づいている。ジューンブライドといえば聞こえが良いが、日本の6月は梅雨。悲しいかな、好天は期待できない。仕事の都合、義姉の出産もろもろを考慮したら、今頃になってしまった

▼我が国では、男女問わず晩婚化が進んでいる。「結婚して家庭を築く=人生の幸せ」という過去のステレオタイプは通用しない時代かもしれない。「自分のキャリアを捨てたり、ライフスタイルを曲げてまで結婚したくない」。筆者のシングルの友人の中には、そう公言する人も。何かを犠牲にしなければいけない、と思わざるを得ないのは辛くもある

▼少子化もまたしかりで、2005年の合計特殊出生率は1・25と過去最低。昨年7月から結婚件数は増加傾向に転じたから、幾分、明るい兆しありだと厚生労働省は必死に報じているらしいが、どこかむなしい。女性の約7割が第1子誕生を機に離職している現実。進まない男女共同参画。子どもが巻き込まれる凶悪な犯罪の急増。明るい材料はなかなか見あたらない

▼家庭を築くこと、子どもを生み育てることは、いつの時代も容易ではない。親と呼ばれる人たちは皆、時に泣き、笑い、必死で我が子や家族の命を育んできた。自分も親になるかもしれない伴侶とともに新しい家庭を作るのだと思うからこそ、今更ながらその重みを感じる

▼ありきたりかもしれないが、嫁ぐ日の朝には、両親の前で三つ指をつき、頭を下げようと決めている。御礼を述べ、誓いをたてることが、両親に対して今できる精一杯のこと。「今までありがとうございました。幸せになります」。(前・ NK)

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