コラム

2006/07/24

ミュンヘンで感じたこと(前・NK)


▼先月発売の米誌ニューズウィーク(国際版)は世界で急成長している「最もホットな10都市」を特集した。日本ではアジアへの玄関口として発展著しい福岡がランクイン。欧州ではドイツ第3の都市・ミュンヘンが選ばれた。優れた雇用環境が評価されたそうだ

▼6月、1週間ほどミュンヘンを訪れた。サッカーW開催中で非日常の喧噪だったが、公園をはじめ緑豊かで、歴史ある街並みに安らぎを感じた。バイエルン州は面積の大部分が森林や農地。世界3000のビール醸造所のうち約700が州内に点在している。伝統的に受け継がれてきたビールと美味いソーセージに舌鼓を打った

▼自転車が多いことにも驚かされた。歩道は石畳側が歩行者、アスファルト部分が自転車。広範囲で自転車道も整備されている。車体はガッチリした質実剛健タイプが主だ。後方に屋根付き二輪車を接続し、子どもを学校へ送迎する姿もよく目にした

▼筆者はぼんやり歩道の自転車道側にいて、容赦なくベルをならされた。観察して合点、そこは車椅子、ベビーカー利用者などが通るスペースでもあったからだ。自転車のために造ったものが皆の役に立つ。ユニバーサルデザインの原点を見た気がした

▼滞在中、街の人が車椅子利用者や高齢者へ手をさしのべる光景を何度も見た。筆者も道に迷っていたら、現地の男性が英語で声をかけてくれた。ハードを整えても使う人の意識次第で有用にも無用にもなる。「ミュンヘンはヒトラーが独裁者になった街、この道も彼が造った」アウトバーンを時速200?で飛ばしながらガイドが説明していたが、そんな過去を皮肉に感じた旅でもあった。(前・NK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら