コラム

2006/10/25

ウルトラマンは企業戦士?(甲・SY)


▼昭和40年代始めにスタートした人気SF番組「ウルトラマン」。円谷英二監督の特撮技術が当時の子供たちを熱狂させた。今でもウルトラマンはもちろんライバルの怪獣たちの姿がくっきりと目に浮かぶ。特に両手がシザーハンズのようなバルタン星人はウルトラマンが手を焼いた相手だ

▼ウルトラマンは地球上での戦いは3分間しかもたない。弱い怪獣なら一撃で倒せるが、バルタン星人のような好敵手がたびたび登場する。3分が近づいてくると、彼の胸の赤いランプが点滅する。エネルギーの危険信号。ウルトラマンは当然あわてる。そこがこの人気番組のツボで、子供たちの瞬間視聴率は最高になる。「ウルトラマンがんばれ!」と

▼今考えてみると、ウルトラマンは受験戦士であり、企業戦士だったと思う。3分間の限られた時間で「怪獣を倒す」という「成績」をあげなければならない。彼は「たった3分でライバルを倒せなんてそりゃ無理だ」などとはひと言も発せず大きな敵に向かってゆく。幼い目もウルトラマンの戦う姿に悲壮感が漂っていたのを直感していたのだろう

▼シリーズの最後がどうなったかはっきり覚えていないが、確かウルトラの星へ帰っていったと思う。その星が「安息の星」だったのか、さらなる「戦いの星」だったのか、説明はなかった。きっと地球上の戦いに疲れたウルトラマンの帰るべき故郷だったのだろう

▼現在でも元祖ウルトラマンの系統を引くシリーズが続いている。日本の誇るべき怪獣SF文化である。これからは元祖の踏襲だけでなく、21世紀らしい新たな発想の関連ドラマが登場するのが楽しみだ。(甲・SY)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら